アマデウス(ディレクターズカット) 【DVD】
私はDVDはレンタルよりも購入派で、1、2度見たら売ってしまうことも珍しくないのですが、この アマデウス ― ディレクターズカット スペシャル・エディション AMADEUS Director's Cut は手放すことはないだろうな、と思っている作品の一つです。
ディレクターズカット版は2002年に出たものですが、映画自体は1984年の作品。20年以上も前に作られたとはとても思えない完成度の高さは、何度観ても驚かずにはいられません。
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監督: ミロス・フォアマン
原作(戯曲)・脚本: ピーター・シェーファー
出演: F.マーリー・エイブラハム/トム・ハルス/エリザベス・ベリッジ
2002年/アメリカ/ジャンル:ドラマ・音楽映画
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若くしてこの世を去った天才音楽家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(トム・ハルス)の波乱の生涯を、年老いたかつての宮廷音楽家アントニオ・サリエリ(F.マーリー・エイブラハム)の回想として描いた作品。
サリエリはモーツァルトの才能にいち早く気付き、凡人の自分にはどうあがいても敵わないという絶望感と嫉妬から、彼を憎み、ついにはある陰謀を企てます・・・。
ディレクターズカットのシーンについては賛否両論あるようですが、私は絶対にあった方が良いと思います。
モーツァルトが没落に至る過程や、モーツァルトの妻コンスタンツェがサリエリを憎む理由など、劇場版ではスッキリしなかったいくつかのシーンの謎解きができました。
また、サリエリがモーツァルトの神がかった才能に感銘を受けていながら、それが嫉妬と憎しみに変わっていく過程などが、より深く描かれています。
モーツァルトの才能は今なお誰もが知るところですし、生前には正当に評価されず悲惨な最期を迎えたことも胸に迫りますが、敵対したサリエリのことを、天賦の才能を妬む凡人、と表現してしまうのはあまりにも酷な気がします。
映画では、下品で奔放なモーツァルトのけたたましい笑い声が、潔癖で品行方正、信仰に厚かったサリエリの心を切り刻んでいくかのように見えます。
ただ憎んでいただけでなく、モーツァルトの音楽を本当に愛していたサリエリの苦悩や葛藤が見どころです。
ただし、この映画はあくまでもフィクション。最近はウィーンでもサリエリの再評価と名誉回復をはかる動きがあるとか。
モーツァルトの死の真相は神のみぞ知るってところでしょうね。
また、衣装もすごいし、映像も本当に美しい(ロケはすべてプラハ)。
そして当然のことながら、音楽が素晴らしい。
実は、モーツァルトは特別好きな作曲家ではないのですが、この映画を観た後しばらくはモーツァルト漬けになります。
この映画では「音楽を無傷で提供する」ということにこだわったそうです。技術的にはもちろんのこと、画面に合わせて音楽をカットすることはできない、と。通常の映画が、画面に合わせて音楽が作られるのとは逆の手法で作られているのですね。
最近はモーツァルトを譜面通りに演奏してくれる演奏家って本当に少ないですよね。そういう意味では、サントラだけで十二分に楽しめます。
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