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マグダレンの祈り|The Magdalene Sisters |映画/ミュージカル/DVDのレビュー

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マグダレンの祈り【DVD】

劇場公開時に見ました。DVDが出たらもう一度見ようと思いつつ、発売されていたことに気付きませんでした。最近ようやく購入したので。
公開時のコピーは「前を見続ける、何があっても。」
私は女性版「ショーシャンクの空にTHE SHAWSHANK REDEMPTION 」だと思っているのですが、もしかしたら反論も多いかも?

マグダレンの祈り

マグダレンの祈り
The Magdalene Sisters

監督・脚本: ピーター・ミュラン
出演: ノーラ=ジェーン・ヌーン/アンヌ=マリー・ダフ/ドロシー・ダフィ

2002年/イギリス,アイルランド/ジャンル:ドラマ

明るくさわやかな映画ではありません。
あまりの理不尽さに激しい怒りを覚え、拳を握りしめる場面がいくつもあります。
それでも。
最後まで決して希望を失わずに立ち向かう少女たちの力強さは、まぶしく美しいほどです。

堕落した女たちの監獄

舞台はアイルランドのマグダレン修道院。
1996年まであった実在の修道院で、この話も実話がベースになっています。
キリストによって改心したとされるマグダラのマリアの名を冠したその修道院は、「堕落した」女性たちの更正施設です。

そもそも「堕落した」とされるのは、男の子の目を惹きつけてしまう孤児の美少女だったり、未婚で子供を産んだ女性だったり、従兄弟にレイプされた少女だったり。
つまり、男社会あるいは宗教的価値観などによって一方的に理不尽な烙印を押された女たちなのです。

彼女たちは修道院という名の牢獄に幽閉され、過酷な労働を強いられ、人間としての尊厳を踏みにじられ、下手をするとそのまま一生を終えるのです。 映画では、彼女たちの悲惨な姿を、残酷なまでに描いています。

この映画の公開に当たっては、ヴァチカンからは激しい抗議を受けたそうです。
確かに、ただのカトリック教会批判の映画として見る人もいるでしょう。
でも、宗教によって救われたり慰められたりする人がいる一方で、同じ宗教によって傷つけられたり苦しめられた人がいるということは、歴史上の客観的な事実です。
そして、この映画で問われているのは、カトリックという特定の宗教だけの問題ではなく、人として生きるということに関する、とても深い何か、なのだと思います。
人間の生きる根拠のようなものについて、考えるきっかけになる映画です。

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